2025年12月17日水曜日

三国志の人々(完成版)

三国志(Three Kingdoms)から30人の名前を石に刻した。恥ずかしながら三国志をすべて読んだのはつい最近。三国志には数え切れないほどの人物が登場するが ,そのうち30人を選んだ。印象に残った人物もあるが,実は字体に興味があって刻した名前もある。うち女性は「小喬」一人だけ。元はと言えばある書家から大量の上等の石(篆刻の世界では印材と呼ぶらしい)をいただいたことが始まり。人にあげる落款に使うのではなく,何かの作品にしたいと思ったわけだ。

石の頭に立派な彫刻があるものがほとんど

立派すぎて刻さず飾る方が値打ちがあるような綺麗なものが多い

頭に飾りのないものは,正方形が二つ,短辺がその二分の一の長方形が一つの三本組が多い

専用箱に入ったものが多い

篆刻の作品は銭君匋『魯迅筆名印集』(こちら👉)の模刻に続き二作目。魯迅筆名で用いた石の多くは木版画の先輩M氏からいただいたものだ。

というわけで出来上がったものがこれ。真ん中の黒に白抜きの文字は木版画で作成。三国志の時代の石碑に彫られたイメージで意図的に字を荒々しく雑に彫ってみた(なかないい感じ)。作者の名前を字で書くともっと良いのだが字は大の苦手。代わりに自分で勝手に名付けた芸名「一老山人」の判子を押してみた。なんとか完成したが,石に刻すことと同じぐらいあるいはそれ以上に難しいのは,判子を綺麗に押すことだ。一つの判子を90%の確率で綺麗に押すことができたとしても30個全てを綺麗に押し終えることができる確率は約4%。これは30回の押印がすべて独立の場合の数値であって,実際には集中力がだんだん低下し,さらに緊張も高まるから30回全部成功の確率はもっと低い。

完成版

三国志に使った30個の印材

よく考えると僕の作品は,ただ一つではなくたくさんの対象物が並んだものが多い。大学での『統計』に関する講義の第一回目「統計学とはどのような学問か」で,「個を個として見ているだけでは見えないことも,個の集まりである集団として見れば何かが見えてくることがある。統計学とは集団を扱う学問である」と話してきた僕の研究者人生と何か関係があるように思う。


三国志の人々(完成版)

三国志(Three Kingdoms)から30人の名前を石に刻した。恥ずかしながら三国志をすべて読んだのはつい最近。三国志には数え切れないほどの人物が登場するが ,そのうち30人を選んだ。印象に残った人物もあるが,実は字体に興味があって刻した名前もある。うち女性は「小喬」一人だけ...