子どもたちのお誕生日会のために,木版画でバースデー・カードを作成した。
バースデーケーキという子供らしい図案のカードだが,お誕生日の嬉しさや楽しさを表すために,ちょっとシャガール風にケーキの周りを舞う子どもたちを描いてみた。
バースデーカード:シャガール風 |
「赤いコートを着た女」の構図がとても気に入って,同じような大きさの,同じような構図の木版画を作りたくなった。ふと思い浮かんだのが大分駅にあるフランシスコザビエル像。明示的に手を描かなかった「赤いコートを着た女」に対して,フランシスコザビエルは大きく手を広げている。それを特徴として木版画を作った。ただし実際の銅像の頭は傾いてはいない。
大分駅のザビエル像 |
自作のザビエル |
Also Sprach Xaver:Fängt es an zu regnen?
それとも,何かを尋ねられて両手を広げ「私にはわからない」と答えているようにも見える。この発想,中学高校とカトリック系の学校に通ったにもかかわらず不謹慎極まりない。
再び小さな正方形の額。今回はコーヒーポット。昔使っていた,木の取っ手のあるコーヒーポットの版画を入れた。このポットでお湯を沸かし,下に散らばっている豆を挽いてドリッパーでカップに濾過して飲むのが正しいが,そのプロセスを適当に省略して,そう言う日常を単純化して描いたわけだ。何せ5センチ四方足らずの小さな絵だから省略は必須。「赤ワイン」,「赤いコートの女」と鮮やかな色合いが続いたから今回はおとなし目の色合いにした。
壬生寺 |
「ごめん,ごめん。なかなか仕事の区切りがつかなくて」「先生,お忙しいのだったら言ってくださったらよかったですのに」
赤いコートの女:モディリアーニ風 |
赤いコートの女:モディリアーニ風 |
7月14日の日曜日,お天気は良くなかったが,思い切って大阪まで「広重 — 摺の極」を観に行ってきた。大混雑と大行列を予想していたが,整理券方式で入場時間が来場者に割り当てられるため11時過ぎ会場に到着後間もなく11時30分にすんなり入場することができた。
作品展のポスター |
大混雑ではないものの会場内は結構な人。「鑑賞の順は特に設けていないから自由に行き来してください」とのアナウンス。つまり,混雑しているとはいえ自由に進んだり戻ったりできるほどのスペースの余裕はある。僕にとっては趣味や道楽の木版画だが,流石にプロの作品は絵も彫りも摺も次元が違う。僕の道楽の木版画とは別物と考えた方が正しい。それでもやはり,気分が高揚して一つ一つの展示作品を食い入るように鑑賞してきた。
僕の木版画と比べるのは烏滸がましいのだが,4月に行った「福田平八郎展」(こちら👉)の時と同様,自分がやっていることもまんざらおかしなことではないのだと妙な自信がわいた。
息子家族が帰ってこないため,何年かぶりに静かな大晦日を過ごしている。大掃除もそこそこに,おせちの準備も早々と終わった。うとうとしながらストーブのそばで本を読んでいると,この静かな時間の流れを木版画で表してみたくなった。いつもながらの単純な絵柄で,大晦日のお昼すぎからバタバタと3時間ほどで完成した。なんということのない昔風の石油ストーブ一台だけの絵柄だが,聞こえてくるのはストーブの上でシュンシュンシュンシュンと微かな音を立てているヤカンの音だけの,静かなのんびりした雰囲気が伝わるだろうか?
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アラジンと魔法のストーブ |
本日は小雪。この辺りはまだ雪は降っていないが,北日本では先週大雪だったとのこと。立冬から二週間,すっかり冬になって我が家ではすでにストーブを出している。燃焼の匂いが嫌で,ずっと床暖房とオイルヒーターで暖を取っていたが,最近のガス代,電気代の高騰や,災害時に備えエネルギー源を分散するために,古典的な(Aladdin)の石油ストーブを使い出したわけだ。ストーブの上で沸かしたお湯は湯たんぽに使え,エネルギー効率はすこぶる良い。
日に日に寒さが増すのと並行して,庭先の物干し竿に吊るした干し柿の色も日に日に濃くなっていく。吊るし柿越しに青い空と遠景の山を眺めていると,ふと「オズの魔法使い」でジュディー・ガーランドが歌う「虹の彼方に(over the rainbow)」を思い出した。そんなことを思いながら,吊るし柿と遠景の山を木版画にした。実際には柿の数はもっと少ないし,住宅に遮られて山も全体が見えるわけではない。いつもの誇大妄想の癖が出た虚構の世界だ。
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吊るし柿 |
今日は6月の第一月曜日,木版画の会。中央区の文化センターの美術室に9人の木版画愛好者が集まった。今日はHさんの「回転版画?」のデモがあった。木の板を彫刻刀で彫り,それに絵の具を載せてバレンで和紙に摺るという伝統的な版画ではなく,段ボールにハサミやカッターで切れ目を入れたり,木の葉やネットなどを自由に配置 したりで構図を作る。ミソはその版を回転させて色を重ねるところにある。今日はすべての材料や道具をHさんが用意してくださった。
道具の準備は完了 |
材料はそれこそ何でもあり! |
真剣そのもの |
まずは黄色から色をのせる |
謎 |
たとえば,小満は5月21日に始まり,次の節気の芒種の前日6月5日までの期間を指すと考えることもできる。というわけで遅ればせながら「小満」の木版画。篆刻は2年前のものと同じ。題名は「酒に溺れる梅」。
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身も蓋もある梅酒 |
梅酒を作るのは楽しい。でも梅酒を飲むのはもっと楽しい。
四月から木版画の会と称して,気楽に木版画を楽しむ会が立ち上がった。今日がその2回目。この木版画の会は県立美術館で知り合った木版画愛好者の気楽な集まりだ。2019年度の前期に始まった県立美術館・美術講座(木版画コース)も4年が経過し,先生が本田このみ先生から新しい先生に交代することになった。これを一区切りとして,
を念頭に,版画の作業や版画を出汁にして談笑をする会を始めることにした。予想通りベテランが10人あつまった。決して無理のない範囲で月に一度集まろうという気楽な会。参加費は500円,もちろん参加できない日は払う必要はない。参加費は会場費に充てるつもりだ。事務手続きは一番若い僕が担当する。
今日は,大ベテランのMさんと二回目から参加のHさんが回転版画なる新しい手法で作った版画を紹介してくれた。参加者全員にHさんから手製のマーマレードのプレゼントまであった。楽しい会になりそうだ。
抽象的な木版画(回転版画) |
次回は6月5日の月曜日の午前。Hさんが道具を用意して回転版画のデモンストレーションをしてくれる。楽しみだ。
今日は子供の日。柏餅の木版画を作ってみた。まさに「絵に描いた餠」。ちなみに英語では,餠でなくパイ。Pie in the sky どこでも食べ物はわれわれにとって重要課題のようだ。
柏餅の整列 |
4月になったばかりで早すぎるし,まだ改善の余地は残っているが,とりあえず一つ木版画をアップロード。出来上がったものを手元に置いておくと落ち着かない。ブラームスのドイツ歌曲 "Mainacht(五月の夜)"を聴いていて浮かんだイメージをそのまま木版画にしてみた。相変わらず小学生の図工の宿題のような絵柄だが,月に関する第二章だ。
Wann der silberne Mond durch die Gesträuche blinkt,
Und sein schlummerndes Licht über den Rasen streut,
Und die Nachtigall flötet,
Wandl' ich traurig von Busch zu Busch.
愛聴盤はナタリエ・ストゥーツマン(Nathalie Stutzmann)というコントラルト歌手(👉こちら)。大好きな曲だ。
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Mainacht |
まあ何となくの妄想のイメージなんだが,実はこれは半年間滞在したマールブルグ大学の宿舎の窓から見ていた景色に似てなくも無い。振り返れば,もっとも熱心に講義の準備をしたのは,ドイツでの半年間だったように思う。春から夏にかけてドイツは日が暮れるのが遅く,こんな風景が記憶に残っているというのはきっと夜遅くまで準備していたんだろう。ドイツに到着したのは今から25年前の今日だ。
春の月 ドイツは遠く なりにけり
明日から4月。朧月夜の木版画を作った。実際の景色を見たわけでは無いが,歌のメロディーや歌詞から浮かんだイメージを木版画にしてみた。風景は正確では無いが,似た風景はこの裏六甲ではよく見られる。鳥居はどれも石造だから本当はグレーなんだが,フィクションで赤にしてみた。まさに紅一点。夜の風景に灯りが灯ったようだ。
図柄は極めて単純。それでも4枚の板を用いている。苦労したのは摺り。菜の花の色と,もちろん月の朧。菜の花は英語で フィールドマスタード(field mustard) だ。しかし辛子色の濃い黄色(イエローディープ)にすれば収穫時の稲のようになる。そこでレモンイエローと下部にライトグリーンの「付け合わせぼかし」を用いた。これで菜の花畑らしく軽くなった。
朧月は悪戦苦闘。プルシャンブルーの絵の具を伸ばした後,彫り込んだ月の周りを刷毛でボカすのだがこれが至難の技。実は今回はちょっと気取ってエディションナンバー付き,5枚(A.P.を含めて全部で6枚)摺ったのだが,朧の大きさや濃さ,すべてまったく別物のようになった。朧はまだまだ改善の余地がある。
朧月夜 |
10月から半年間続いたこのみ先生の木版画コースも今日(2月17日)でいよいよ終了。今日は半年間の成果の講評会。課題は「空摺り」と「折本」。教室の前方のテーブルにズラリと力作が並ぶ。名目上は初心者コースなんだが,作品を見るとセミプロ級。事実,中には見るからに芸術家という方もおられる。受講生一人一人の作品説明にも力が入る。それぞれの作品にはそれぞれの背景があるわけだ。このみ先生はいつものように「褒めながら」も的確なコメントを次々と加えていく。そうだ!教育とは「褒めることなんだ」とあらためて実感。
ズラリと並んだ力作 |
すべての作品を講評するこのみ先生 |
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講評会の後:懇親会(まさに老若男女) |
毎週金曜日は木版画教室。教室の終了後,古くなった懐炉(カイロ)のバーナー(触媒)を買いに元町のzippo-LAND G.(ジッポーランドG)へ向かった。どうも「使い捨て」という言葉の響きが嫌で,僕はこのように気化熱を利用した「使い捨てない」カイロを使っている。ポケットに入れているとポカポカと暖かい。たまに手で触われば指先も温まる。この「使い捨てない」カイロは,最初は触媒のバーナーにライターの火を近づけて温めるものの,その後は化学反応の気加熱を利用するので一切火は使わない。
Zippo Handy Warmer |
見覚えのあるクリスマスローズ |
アトリエノーベンバーにお願いしていたシュトレンも出来上がったとの連絡があり,いよいよクリスマスだ。今年もクリスマスカードを作成した。今年は正統派,ポインセチアの図柄に決めて,写生するため早速街の花屋さんで鉢植えを購入した。480円。
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ポインセチア |
しかしもともと絵を描く才能がゼロの僕にとって写生は難関中の難関。結局いつものようにマンガのような図案になってしまった。花は上から見ているのに,鉢は横から見ているという理屈に合わないチグハグなものになってしまった。
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赤いポインセチア |
ポインセチアに見えるといいのだが。上にMerry Christmas !と文字を入れたので,ポインセチアと認識してもらえるといいのだが。一つでは寂しいので,色を変えて黄色いポインセチアも摺ってみた。
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黄色いポインセチア |
最近かなり精神が疲れているような気がしたので,昨日気晴らしに三宮のシネリーブルで,封切りされたばかりの映画を観た。観たのはカズオ・イシグロのA Pale View of Hillsの邦訳『遠い山なみの光』を映画化したもの。 地下一階おしゃれなエントランス 入り口のポスター,お気に...