2021年10月20日水曜日

英語の俳句・木版画・篆刻・二人展のお知らせ

定年退職した旧友二人の戯れの作品展です。日日感じたこと,訪れた地で出会った小さな出来事,移りゆく季節への想いを英語の俳句と木版画にしました。本当に本当に拙く小さな作品ばかりですが,観に来ていただいた方方が「ちょっぴりハッピーな気持ちになった」と感じていただければ望外の喜びです。



会期:2021年11月30日(火)〜12月5日(日)  12:00~18:00


                    〒657-0846 神戸市灘区岩屋北町1-7-18 サントヴィラージュ摩耶1F

                    ☎︎ 078 881 2055 


JR摩耶駅,阪神西灘駅から三宮寄り徒歩2分

This is an exhibition of Haiku, woodcut printing, and classical Chinese seal carvings that two old friends have created over the years in accompany of each other. They are collections of little wonders of day-to-day events, small encounters of their trips, and tranquil moments of seasons that they watched passing by. If visitors can also enjoy these small moments of happies of being, it would make me a very happy man.


30 November 2021 ~ 5 December 2021: 12:00 ~ 18:00 at Gallery & Space Coffret

1-7-18 Iwayakita-machi Nada KOBE 657-0846 Japan ☎︎ 078 881 2055

A two-minute walk from JR Maya or Hanashin Nishinada station


出井文男 Fumio Dei (1949-2020)   得津一郎 Ichiro Tokutsu (1953- )


2021年10月18日月曜日

月に吠える

萩原朔太郎は群馬県の前橋の人だ。前橋には先日亡くなった叔父(父の弟)が住んでいたし,新しい三人の家族もすべて前橋生まれ。何よりも科学者として筋を通した尊敬する高木仁三郎氏が前橋の人である。前橋は遠いところだが,このように縁がないわけではない。朔太郎の詩集『月に吠える』をふと読み返したくなったが,手元には見当たらない。

誰かに貸したことは覚えているのだが,誰に貸したかを忘れてしまった。まあ随分前の話だからおそらくもう返ってはこないだろう。そんなことを考えていて,木版画のイメージが浮かんだ。月に吠えるのは犬だけではない。クジラだって時には氷山の影で吠えたくなることだってあるだろう。題して「月に吠えーる(whale)」

木版画:月に吠えーる


構図はまったく違うのだが,この版画は木版画教室のKYさんの作品(9月のカレンダーのお月さん)に触発されている。そこではブルー系の色が巧みに組み合わされて透明感のあるとても素敵な版画になっている。同じようにブルー系の色で,南氷洋の透明感と寂しいクジラの遠吠えを描きたかったのだが,,,。

もともと芸術的素養がない上,絵画の基礎的訓練を受けたこともない。さらには木版画の高度なテクニックもないから,相変わらず小学生の図工の宿題のような版画だが,これが僕の版画なんだと割り切ることにした。木版画を初めて約3年,意外と早くそのことに気がついた。

経済学の研究を生業としてきたが,周りの秀才研究者たちは,注目すべきトピックを高度な数学を駆使して分析した最先端の研究成果を次々と発表しているのに対し,そのような研究者としての才能にあまり恵まれなかった僕は,相変わらず特に注目されているでもないトピックを単純な手法で分析するということしかできなかった。

ずっと自分の研究に対し,なんとなく人の目が気になっていた。しかし50歳に近くなった頃だろうか「これが僕の研究スタイルなんだ。これしかできないんだから,誰がなんと言おうと死ぬまでこれを続けるしかない」と割り切ると,意外とそれから肩の力が抜けた論文を発表することができた。事実50歳台半ばから定年までの間が論文の生産性が一番高い時期だったように思う。

本職の経済学ではそのことに気がつくのに30年近くかかったが,その経験からか木版画では,気がつくのが比較的早かった。これで続けていこう!




ブラームス 作品53 アルトラプソディ

マリアカラスもバーバラボニーも素敵なソプラノ歌手なんだが,やはり聴いて落ち着くのはアルトの声。ブラームスもそうだったのかもしれない。ちなみにNHKのアナウンサーの井上あさひさんも森田美由紀さんもアルト(多分)。聴いていてとても心地よい。

ところで,久しぶりに午後寝転がって,CD(歌手はワルトラウト・マイヤー)を聴いていて,コンサートでの情景(アルトの独唱,男性のコーラス,オーケストラ)が頭に浮かんできたので,それを木版画にした。版画の構図は,斎藤清「目」をこの夏初めて見,それに大いに触発されている。もう少しリファインする必要があるが,とりあえず投稿。女性の顔のグレーは不要だったかな。


木版画:アルトラプソディ


2021年10月16日土曜日

蔵書票を作ってみました!

先日訪問した創作版画協会の作品展の二階で,ちょうど蔵書票(EXLIBRIS)の作品展が開催されていた。その素晴らしい作品に大いに刺激され,初めて自分用の蔵書票を作ってみた。なにぶん初めての挑戦なので,デザインは以前作っていた石のハンコの使い回し。全体のデザインも見様見真似で作成したのだが,それでも出来上がったものは結構蔵書票らしくなった。

サイズは 52ミリ×77ミリ

定年退職を機に,ほとんどの蔵書を処分してしまった。そのため蔵書票を使う場面はほとんどない。小さな作品を様々なスタイルで作成するのもまた楽し。友人の蔵書票を作って練習してみよう。

2021年10月14日木曜日

新しい干支のハンコ

 以前,干支のハンコ(篆刻)を作成していたが,小さなものから大きなものまで,まったく統一が取れていなかった。まさに思いつきでその時その時に作成したので,例えばネズミは「鼠」ではなく「子」,ヘビは「蛇」ではなく「巳」という字を当てているが,ウシは「丑」ではなく「牛」だし,ウマは「午」ではなく「馬」の漢字を使っている。

そこで今回新しく,すべてを15ミリ四方の大きさに揃え,自体も「子,丑,寅,・・・,亥」に揃えることにした。


配置に用いた木版画は,正十二面体の展開図。上部の正五角形の中心「子」から右下の「丑」斜め左上の「寅」へと反時計回りに進み下部の正五角形と,「巳」,「午」で接続する。さらに今度は時計回りに「未」,「申」と続き最後に中心の「亥」で終わる。

ところで正多面体は,正四面体,正六面体,正八面体,正十二面体,正二十面体の5種類しかないことがわかっている。その展開図の形は,正四面体が2種類,正六面体と正八面体が11種類である。ここまでは,えっちらおっちら考えると全てを得ることができるのだが,正十二面体になると展開図の形のはなんと43,380種類ある。正二十面体も同じく43,380種類ある。こうなると全てを得ることはほぼ不可能。えっちらおっちら考えているうちに命が尽きてしまう。

しかし,全ての展開図でなく,そのうちの一つを得るだけならば,43,380種類あることはかえって利点である。つまり雛形の展開図が一つあれば,それを少しだけいじるだけで,たくさんある展開図の中から,自分の好みのものをちゃんと得ることができるわけである。

この展開図はハガキサイズに収まる配置で,一つのセルが出来るだけ多くなるようにしたものである。さらに配置そのものがシステマティックな文様になるように工夫した。これは「巳」と「午」の二つの正五角形を接続する辺の中点を中心とする「二つ割り回転対称」である。

「子」を1,「丑」を2,. . . ,「亥」を12とするならば,展開図から十二面のサイコロを作成することができる。実はこの展開図の干支の配置はそのサイコロにはなっていない。サイコロというものは対面の合計が決まっている。例えば,正六面体(立方体)の普通のサイコロならば1の裏は6,2の裏は5,3の裏は4にと合計が7になっているのである。

同様に正十二面体のサイコロでは対面の合計が13になる。つまり,下の写真の赤い袋の上の2つの正十二面体のサイコロが示すように,1の裏は12である。

中国の研究者からもらった様々なサイコロ

干支を描いた展開図において,例えば「子(1)」の裏は「亥(12)」となっているように,ほとんどの場合その原則を満足している。しかしながら,展開図から直ちにわかるように「巳(6)」と「午(7)」のように合計が13になる面が隣り合っていることは,そこで直ちにサイコロの原則が破綻しているのである。

サイコロの面の配置は特に重要であるというわけではない。配置はどうであってもそれぞれの面の目が出る確率は12分の1で等しい。そのため,展開図で見た目が不自然な並びではなく,干支の連続的な並びを優先し,サイコロの原則は採用しないことにした。

ともかく,これで新しい干支のハンコが完成した。

2021年10月5日火曜日

版画作品展に行ってきました

県立美術館の木版画教室でお世話になったHさんから創作版画協会の作品展の案内状が届き,本日これまた木版画教室でお世話になっている先輩のMさんと二人,三宮のトアギャラリーまで行ってきました。

案内状はHさんの作品

ため息がでるような素晴らしい作品ばかりで,ただただ感嘆。ここまで来れば,もう趣味の世界を通り越してもはやプロの世界。木版画愛好者ではなく木版画家なんだ。人生のメモ書きとして,心に浮かんだ情景を簡単な図案で木版画にしているだけの僕とは訳が違う。

僕が考えていたようなアイデアがすでに高度なテクニックで実現されている作品もいくつかあった。僕の考えていることもまんざら悪くはないのだなと少し安心。作品について質問すると丁寧に教えていただき,とても勉強になった。しかし同時に「今の僕の力では,作品を作るのはまだまだ先の話」ということも実感。

ギャラリーの入り口にもHさんの作品

木版画の摺りの実演もある

同じトアギャラリーの二階では蔵書票の作品展。蔵書票の作品展は,昨年Mさんに教えてもらって大阪まで見に行ったのだが,その時に記帳した住所に案内状が送られてきていた。

書票作品展の案内状

これがまたすごい!あまりにもすごくて写真をとるのをすっかり忘れるほど。蔵書票だから大型の作品は無いが,木版画有り,銅版画有り,篆刻有りの盛りだくさん。僕も蔵書票に挑戦したくなった。残念ながら定年を機に,自分が書いたものも含めてほとんどの蔵書を処分したため,蔵書票を使うことはほとんどないと思うが,クラリネット吹きの石のハンコを元にオリジナルの蔵書票を作ってみよう。

石のハンコ(2センチ×4センチ)

作品展を見終わったあとはランチ。まずはMさんが下調べしてくれたワインのうまいピザ屋さんへ向かうが,あいにく今日は臨時休業。テクテク歩いて別のレストランへ。ここは,ビーフンを製造販売する有名な会社の直営レストラン。満員のため店外の椅子に座って待つこと約15分,待機中にオーダーをする効率的なシステムで,店内の椅子に入るとすぐに注文したメニューが出てきた。

お店の外観。大きな本社ビルの一階

流石にビーフンの専門家,とても美味しい。加えて安い。というより一緒に食べて楽しい人と食べるから美味しいのかもしれない。どんなに高いフランス料理でも,嫌な人とのビジネスランチでは美味しくないだろう。

コロナ禍でのアイデアか?外には調理済みビーフンの自動販売機まである。来週からいよいよ県立美術館の木版画教室が始まる。そこでまたお会いすることを確認してMさんと別れた。今日はとっても気持ちの良い日だった。




ぼーっと生きていると危険だ!

トイレの手すりで頭をしこたま打った。手すりというか硬い金属製のハンガーのようなもの。尖った角で打ったため,少しだけだが血が出てきた。それもすぐに止まったから大丈夫だろうとたかを括っていたのだが,夜になると傷口がズキズキ痛むし,打った側の目や耳まで痛いような気がする。しかし,肩こり...