2019年4月5日金曜日

清明

2019年3月31日,定年退職のため39年間の研究者生活を終了しました。山あり谷あり,いや谷あり谷ありの研究者生活でしたが,良き師,良き友人,良き学生に恵まれ無事健康に定年を迎えることができました。これまでのご厚情に心から感謝します。

退職に際し次のような版画と篆刻を挨拶がわりにみなさんにお渡ししました。版画の帽子はいつものボルサリーノ。色はグレージュのショートブリムです。

定年退職のご挨拶

篆刻「人生足別離」の出典は,以下のとおり。

勧酒

勧君金屈巵
満酌不須辞
花発多風雨
人生足別離

井伏鱒二訳

 コノサカヅキヲ受ケテクレ
   ドウゾナミナミツガシテオクレ
   ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

形式的な最終講義はありませんでしたが,大学院の講義の最終回が終わった時,学生がサプライズで,花束と記念写真で労ってくれました。こういう時には,いつも斜に構えてしまう僕ですが,この時ばかりは学生の心遣いに素直に心から感謝の気持ちを表すことができました。あらためて,ありがとう。


積み残しの共同の仕事が残っているので,「これで研究終わり」とはいきませんが,自分のやりたいことを中心にのんびり過ごします。もちろん積み残しの処理だけではありません。経済の繋がりを幾何学的に考えるという新しい研究テーマにも挑戦したいと思います。

評価や外部資金とは無縁に,ただひたすら知的好奇心を満たすだけの研究をしたく思います。図形,造形という観点からみれば,新しい研究テーマは趣味の木版画,篆刻と無縁というわけではありません。

今日4月5日は清明。満開の桜と風に舞う花びらを木版画にしてみました。

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