2020年5月21日木曜日

タンホイザー第三幕

ワーグナーのオペラ,タンホイザーの第三幕を木版画にした。1998年の夏学期(4月から8月)にドイツのマールブルグ大学で,日本の経済に関する講義を担当。週2回の講義を15週,ちゃんと学生に伝えなければとの緊張の連続だった。しかし,パウワー教授をはじめ,いろんな人たちに助けられて,何よりも熱心な学生たちのおかげで,とても有意義な半年間のドイツ生活を送ることができた。いまだに1日がエヌ・ハー・カー・ラジオのドイツ語講座(まいにちドイツ語)で始まるのはその時の経験から。

タンホイザーの舞台になったアイゼナハのヴァルトブルグ城はマールブルグから自動車で約1時間。訪れたのは雨降りの中一度だけだが,旧東ドイツのとても趣のある街。城とはいうもののノイシュヴァンシュタイン城のような華美なものではない。またバッハが生まれた町で,街にはバッハ記念館のようなものがあった。

大広間では,ここで騎士詩人の歌合戦が行われたんだ,バルコニーからみえる森にヴェーヌスベルグがあるのかと,オペラに思いを寄せる(妄想する)半日となった。ちなみにマールブルグにあるエリザベート教会のエリザベートは,ハンガリーからここへ嫁いだ実在の人。タンホイザーに出てくるエリザベートと関係があるようで,ないような。ワーグナーのタンホイザーの着想になったことは間違いないが,,,

定年後,仕事抜きにもう一度ヨーロッパを訪ねようと計画していたが,コロナ禍でそれもたち消え。生きているうちにもうヨーロッパへは行けないか,,,。

実際に観たオペラは,ニューヨークのメトロポリタン歌劇場のDVD 。どうしてもそのイメージが前面に出てきてしまう。老いた巡礼の人たち,杖から芽が出て救済される死んだタンホイザー,友人ヴォルフラムの夕星の歌(右上の篆刻は夕星)を一度に盛り込んだ版画になってしまった。全体が白黒で,杖の葉っぱだけが緑なのは,シンドラーのリストでの光景(赤い服の少女)の影響。



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