明日,2月18日は雨水(The rains)。空から降る雪が,雨に変わり,それが田畠を潤し人々が耕作を始める季節ということだ。立春から二週間経ち,少しずつだが寒さも和らいできた様に感じる。このころに咲く椿の花に合わせて「椿餅」が和菓子屋さんの店頭に並ぶ。ただ和菓子は「花」をモチーフにしたものでなく「葉」をモチーフにしている。雨水の版画は椿餅とした。
椿餅は『源氏物語』「若菜 上」にも出てくる古い和菓子だ。何度も途中で挫折した『源氏物語』も,角田光代さんの現代語訳でやっとすんなりと読めた。「つばきもち」ではなく「つばいもちい」というルビがふられている。
椿餅や梨,みかんといった食べものが,箱の蓋にいろいろと無造作に置かれているのを,若い人々ははしゃぎながら取って食べている
紫式部/角田光代現代語訳『源氏物語』(東京:河出書房新社)河出文庫5,115ページ
ただ,「三月頃の空もうららかに晴れた日」とあるから,語られている時期は,雨水よりもう少し先の季節だろう。
図柄は簡単。全体を椿の葉と同じグリーンにし, 重ね刷りで濃淡をつけただけだ。紫式部をテーマにした昨年のNHKのドラマ「光る君へ」をもじって「光る餅へ」を添えた。篆刻はもちろん「雨水」
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椿餅 |
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