2021年1月24日日曜日

古色蒼然

執筆料や講演料など,たまに予定外の収入があることがある。もちろん定年後の今はまったくそんなものはない。予定外だから,それは予定外の贅沢品に使うことにしていた。予定外の収入は,フランス製のクラリネット,安曇野の工房にオーダーした書斎机,カメラや双眼鏡に消えていった。2007年に,センター街のカメラ屋のショーケースで見た小振りのデジタル一眼レフに一目惚れして,頂いたばかりの執筆料で衝動買いした。

購入したのはOlympusのe410のダブルズームキット。学生時代に使っていたのはNikonの一眼レフで,もちろんフィルムカメラ。20年ほど愛用したが,1995年の震災後,同じカメラ屋のショーケースでZeiss,Contaxという名前に引き込まれるように衝動買いしたContax G1というレンジファインダーカメラにとって代わられた。ContaxG1は僕にとって初めての自動焦点カメラで気楽に10年間楽しめた。

もう大きく重い一眼レフカメラはしんどいから不要と思っていた時に,小振りの一眼レフに出会ったわけだ。しかし小振りといってもやはり大きく,何よりも,自動焦点で勝手に露出もシャッター速度も決めてくれるカメラで横着をしていると,余計にこんな重たいカメラを持たなくてもいいやという気持ちになり,最近はもっぱら小さなRICOH GR4またはGX200をカバンにいつも入れていた。

緊急事態宣言下,人と人との接触を避ける努力をすべく,版画教室も版画の会も欠席して,ほとんど家の中で過ごしている。それぐらいしか僕に貢献できることはない。時間は余る程ある。そんなとき,アダプター(近代インターナショナル)を介せば,NikonのニッコールレンズがOlympusに使えることを思い出した。きっかけは,大学のゼミの3年後輩,高知のC君からの突然の電話と,その後のメールである。


右下から,F2.8 28mm,F2.8 35mmの広角レンズ,左上がF2.5 105mmの望遠レンズ,カメラについているのがF1.4 50mmの標準レンズだ。今はすっかりズームレンズが主流だが,所有するNikonの古いレンズはすべて単焦点。ズームなんて使わなくても遠い被写体へは自分が近づけばいいし,近すぎる被写体からは自分が離れるといいんだ。

まずは,標準レンズで玄関先のパンジーを撮影。もちろん自動焦点は使えず,ファインダーを覗きながらフォーカスリングを回してのピント合わせだ。幸い,露出はアダプターを介しても絞り優先撮影が可能。あいにくの雨で,濡れない屋根の下から向うむきのパンジーの花びらを試し撮り。

Olympusは撮像素子のサイズは4/3型(Four Thirds)だから50mmの標準レンズは100mm相当,つまりちょっとした望遠レンズになる。上の写真はF2.8,シャッタースピードは1/160秒。下はF2.0,シャッタースピードは1/250秒。

f2.8 1/160


f2.0 1/250


どちらもISO400,トリミング以外はなんの調整もしていない。何かちょっと,嬉しくなるような写り具合だった。アダプターを介しているので開放測光は不可能。絞り込み測光ではなんともピントが合わせにくい。しかし,これからは時間もたっぷりあることだし,このカメラでそんな苦労も楽しむことにしよう。

注記)僕の書いてきた論文はほとんど執筆料がもらえるどころか,投稿料を支払って査読にかかり,その結果掲載されずに終わるという場合もあるようなものだった。講演なんてものは数えるぐらいしかしたことがない。依頼されることも少なかったが,依頼されても丁寧にお断りすることがほとんどだった。要するに,面倒臭いのだ。予定外と書いたのはこのためだが,大学には予定外ではなく,恒常的に執筆料や講演料が入る人も多かったように思う。特に僕の所属先は経営学部だったからだろうが,キャンパスにはBMWやベンツなど大学からもらうお給料だけではちょっと手が出ないような高級輸入車が並んでいた。





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