2025年2月21日金曜日

戯れに作った赤ワインの木版画

年末,街でぶらぶらしていてとても小さな額を見つけた。価格はなんと110円。サイズは約7センチ×9センチ,窓の大きさが約5センチ×約7センチの本当に小さなもの。壁にかけるだけではなく立てることもできる。それに合わせて簡単な木版画を作成した。安価でシンプルな額だから,木版画もシンプルなものにした。最初は和紙に摺ったが,図柄が図柄だけに,綺麗に摺れると版画ではなくイラストの様に見えてしまう。そこでニューブレダン紙という洋紙に摺ることにした。ちょっとした力の入れ方でかすれの程度が異なり,手作り感が増す。しかしそれがかえって木版画ならではの味がでるような気がする。



立てた場合はこんな感じ


撮影にあたり,たまたま近くにあった,昔のLPレコードを背景にした。ソニーロリンズのサキソフォン・コロッサス。図柄とマッチしていない気もするが(笑),とりあえず撮影は完了。ちょっとおしゃれなものができた

2025年2月17日月曜日

新二十四節気:雨水

明日,2月18日は雨水(The rains)。空から降る雪が,雨に変わり,それが田畠を潤し人々が耕作を始める季節ということだ。立春から二週間経ち,少しずつだが寒さも和らいできた様に感じる。このころに咲く椿の花に合わせて「椿餅」が和菓子屋さんの店頭に並ぶ。ただ和菓子は「花」をモチーフにしたものでなく「葉」をモチーフにしている。雨水の版画は椿餅とした。

椿餅は『源氏物語』「若菜 上」にも出てくる古い和菓子だ。何度も途中で挫折した『源氏物語』も,角田光代さんの現代語訳でやっとすんなりと読めた。「つばきもち」ではなく「つばいもちい」というルビがふられている。

椿餅や梨,みかんといった食べものが,箱の蓋にいろいろと無造作に置かれているのを,若い人々ははしゃぎながら取って食べている

紫式部/角田光代現代語訳『源氏物語』(東京:河出書房新社)河出文庫5,115ページ

ただ,「三月頃の空もうららかに晴れた日」とあるから,語られている時期は,雨水よりもう少し先の季節だろう。

図柄は簡単。全体を椿の葉と同じグリーンにし, 重ね刷りで濃淡をつけただけだ。紫式部をテーマにした昨年のNHKのドラマ「光る君へ」をもじって「光る餅へ」を添えた。篆刻はもちろん「雨水」

椿餅


2025年2月2日日曜日

新二十四節気・立春

明日2月3日は立春。まだまだ寒い日が続き,月曜日からの週は気温もぐっと下がるらしいが,暦の上では春だ。しかし四季を感じるのは温度だけではない。夕方5時にはすっかり暗くなっていた12月に比べて日が沈むのが随分遅くなった。確実に春は近い。


蕗のとう


立春の版画は,まだ本格的な春ではないが,なんとなく春の始まるを告げるような気がする開き始めた「蕗のとう」に,立春の篆刻とキャンディーズの「春一番」の歌詞を添えてみた。

もうすぐ春ですねえ

ちょっときどってみませんか


ところで「春一番」は,歌われているように明るく楽しいものではないらしい。元来,春先、初めて吹く,最大風速8メートル以上の強い南風のことを言う。立春から春分にかけての時期に吹くこの春一番は、竜巻や突風を伴い,漁に出る漁師たちの間でもとても怖がられているとのこと。 

赤いコートの女

2018年10月,定年退職の半年前,初めて壬生狂言なるものを観た。初めはちょっとした時間つぶしのつもりだった。ちょうどその日の夜,京都で,オランダから来た旧友と共同研究の打ち合わせをすることになっていたからだ。そのころ旧友はオランダの古い国立大学の学長(Rector)をしていたた...