2021年10月14日木曜日

新しい干支のハンコ

 以前,干支のハンコ(篆刻)を作成していたが,小さなものから大きなものまで,まったく統一が取れていなかった。まさに思いつきでその時その時に作成したので,例えばネズミは「鼠」ではなく「子」,ヘビは「蛇」ではなく「巳」という字を当てているが,ウシは「丑」ではなく「牛」だし,ウマは「午」ではなく「馬」の漢字を使っている。

そこで今回新しく,すべてを15ミリ四方の大きさに揃え,自体も「子,丑,寅,・・・,亥」に揃えることにした。


配置に用いた木版画は,正十二面体の展開図。上部の正五角形の中心「子」から右下の「丑」斜め左上の「寅」へと反時計回りに進み下部の正五角形と,「巳」,「午」で接続する。さらに今度は時計回りに「未」,「申」と続き最後に中心の「亥」で終わる。

ところで正多面体は,正四面体,正六面体,正八面体,正十二面体,正二十面体の5種類しかないことがわかっている。その展開図の形は,正四面体が2種類,正六面体と正八面体が11種類である。ここまでは,えっちらおっちら考えると全てを得ることができるのだが,正十二面体になると展開図の形のはなんと43,380種類ある。正二十面体も同じく43,380種類ある。こうなると全てを得ることはほぼ不可能。えっちらおっちら考えているうちに命が尽きてしまう。

しかし,全ての展開図でなく,そのうちの一つを得るだけならば,43,380種類あることはかえって利点である。つまり雛形の展開図が一つあれば,それを少しだけいじるだけで,たくさんある展開図の中から,自分の好みのものをちゃんと得ることができるわけである。

この展開図はハガキサイズに収まる配置で,一つのセルが出来るだけ多くなるようにしたものである。さらに配置そのものがシステマティックな文様になるように工夫した。これは「巳」と「午」の二つの正五角形を接続する辺の中点を中心とする「二つ割り回転対称」である。

「子」を1,「丑」を2,. . . ,「亥」を12とするならば,展開図から十二面のサイコロを作成することができる。実はこの展開図の干支の配置はそのサイコロにはなっていない。サイコロというものは対面の合計が決まっている。例えば,正六面体(立方体)の普通のサイコロならば1の裏は6,2の裏は5,3の裏は4にと合計が7になっているのである。

同様に正十二面体のサイコロでは対面の合計が13になる。つまり,下の写真の赤い袋の上の2つの正十二面体のサイコロが示すように,1の裏は12である。

中国の研究者からもらった様々なサイコロ

干支を描いた展開図において,例えば「子(1)」の裏は「亥(12)」となっているように,ほとんどの場合その原則を満足している。しかしながら,展開図から直ちにわかるように「巳(6)」と「午(7)」のように合計が13になる面が隣り合っていることは,そこで直ちにサイコロの原則が破綻しているのである。

サイコロの面の配置は特に重要であるというわけではない。配置はどうであってもそれぞれの面の目が出る確率は12分の1で等しい。そのため,展開図で見た目が不自然な並びではなく,干支の連続的な並びを優先し,サイコロの原則は採用しないことにした。

ともかく,これで新しい干支のハンコが完成した。

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