2022年6月4日土曜日

裏庭の風景:6月

「皐月」の版画ができたのは,5月も終わろうとしている時だった。実は,皐月は旧暦(太陰太陽暦,和暦)の5月に対応する。そのため現在われわれが使っている新暦(グレゴリオ歴)の5月とはズレている。ズレは年によって異なるが,たとえば2022年の旧暦の皐月は,新暦に換算すると5月30日に始まり,6月28日に終わる。ヤマボウシの木版画が完成したのは,まさに旧暦の皐月が始まる直前のちょうど良いタイミングだったわけだ。

しかし旧暦に対応して木版画や篆刻を作成すると混乱が生じる。たとえば年末の代名詞ともなった「師走」は旧暦に従うと年を超えてしまう。そのためこのウェブログでは季節感とのズレはあるが,新暦に対応させて月名を使うことにした。というか早めに木版画が完成すれば新暦,完成が遅れると旧暦という風に言い訳に使えそうだ。

六月は「水無月」(2000年の旧暦の水無月は新暦では6月29日から7月28日まで,念のため)。水の無い月と書くが,意味は「水の月」。名前の由来については諸説あるが,「無」は「の」を意味する連体助詞「な」であるという説が一番ストレート。篆刻は三文字なので縦長(9ミリ×18ミリ)の石に刻した。

庭にはブルーベリーの木がある。毎年6月にはたくさんの実を結び,朝食は朝摘みの新鮮なブルーベリーを入れたヨーグルトが定番の毎日だ。残りはジャムにする。今はまだポツポツとブルーに色づき始めたばかりだが,既にグリーンの実は鈴なりだ。それらが完全に色づいたことを想像して木版画を作成した(ハガキサイズ)。ちょっと日本画風,自分では田中一村風だと思うのだが,,,。


ブルーベリーとイソヒヨドリ

ちょうど熟した頃を見計らってヒヨドリが食べに来るので,これからの一ヶ月はヒヨドリとの戦いだ。実は木版画に描かれたヒヨドリはイソヒヨドリといって本当はヒヨドリではない。スズメ目ヒタキ科に属するもので,おなじくスズメ目ヒヨドリ科に属する鵯(ヒヨドリ)とはまったく別のものである。むしろ姉妹科のツグミと言った方が良い。事実イソヒヨドリは英語でblue rock thrushとツグミの一種であるように表記される。

雄のイソヒヨドリは薄いブルーに黒い羽,そして胸と腹は赤いのが特徴的だ。個人(鳥)主義なのか,ほとんどが一羽で来訪する。そのためブルーベリーが食い尽くされてしまう心配はないので食べたいままにしている。

これに対して,正真正銘のヒヨドリは集団行動である。集団行動といえば聞こえはいいが,要するに徒党を組んでブルーベリーを食い尽くしてしまう。どうも僕はこの「徒党を組む」ということが苦手である。勤めていた頃には「徒党を組む」人たちの行動にはほとほと閉口した。

これまでネットをかけたり,水撒きのホースを蛇に見せかけて木に巻きつけたり,風車をつけたりいろいろ工夫をして防御した。どれも一定の効果はあるものの,一長一短で副次的に発生する問題も多い。やはり鳴き声で来訪を察知し,庭に飛び出して追い払うというのが一番平和的な解決である。

庭のブルーベリーもあと十日もすれば,実はすっかり熟すだろう。

 




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