2023年2月22日水曜日

裏庭の風景:3月

三月まであと一週間。毎年三月には,わが家には白い水仙や黄色い水仙,そしてライラックの木の根元に黄色いクロッカスの花が咲く。三月の「裏庭の風景」はクロッカス。小さな花だが,春の到来を告げる鮮やかな黄色は,まだ殺風景な裏庭に彩りを与えてくれる。実際には裏庭のクロッカスは咲き始めたばかりだが,例年3月の満開の様子を想像して版画にした。少し早いが完成したものを手元に置いておくのはなんとも落ち着かないので,ブログに載せることにした。

6枚の花びらは4版を重ねて花びらの外側と内側に色にちょっとした差(ディープイエローとそれにごく少量のオレンジを加えたもの)をつけて陰影を表し,外側,内側それぞれ版を2枚重ねて花びらの重なりを表した。茎や葉ももちろん色を変えて(クリスマスローズと同じくザップグリーンとディープグリーン),非現実的ではあるが,それらの重なりで奥行きを出している。花だけでは寂しいので,クロッカスの周りを飛ぶてんとう虫をつけてみた。てんとう虫は石のハンコ,印矩を用いて赤と黒の二つのハンコを重ねて押印している。

クロッカスとてんとう虫

篆刻は朱文の弥生。草木の芽吹く「いやおい」が由来という説が有力。三月はまさにそんな月だ。昨年の四月に始めた「裏庭の風景」も三月でお終い。少し休憩し(general Pause)次にすることをゆっくり考えよう。




2023年2月21日火曜日

知己朋友

中学高校の同期,「J心の舟木一夫」ことT君から突然連絡があり,ランチでもしようということになった。何度か正月に集まる同窓会で顔を合わせた記憶はあるが,こうやって二人でゆっくり話すのは30年ぶりだろうか?かつての舟木一夫は,やはり舟木一夫の面影はあったが随分落ち着いた紳士になっていた。

不思議なことに,地元の僕ではなく鎌倉に住んでいるT君が三宮のとあるレストランの席を予約してくれた。鎌倉に住んでいると聞くだけでなんか洒落ているなあと,地方暮らしの僕は常々感心していた。新しくできた街の中心部のビル29階にある「〇〇◯やま」というレストラン。半ば隠遁生活を送っている僕は初めて聞く名前で,最初お相撲さんの四股名を連想し「ちゃんこ鍋」のお店かと思ったぐらいだ。

実際はイタリアンのカジュアルカフェという感じの素敵なお店。窓からは大スペクタクル。神戸の中心部三宮の鳥瞰図を見ているよう。六甲山の中腹にある大学の研究室や,30歳代に住んだ職住近接のマンション(集合住宅)の窓からの眺望も素晴らしかったが,それとは全然別物のような迫力のある景色だった。

Mountain View

City View

Ocean View

View of Flower Road

中高時代のいろんなエピソードが噴き出し,昔話に花が咲く。そんな中,〇〇君も何年まえに亡くなった,亡くなった〇〇君とは下宿が一緒だった,〇〇君とは同郷だったなどの話になり,ちょっぴりしんみり。思えばすでに同期の一割以上の友人が亡くなっている。

気を取り直して,それぞれがやってきた仕事について話が盛り上がる。大秀才でいわゆる自然科学系の学部に進学したT君と,鈍才で,かつ社会科学系の学部に進学した僕には接点は無いように見えるが,「研究開発」という共通の関心があり,その分野の碩学に共通の知人もいることがわかった。事実,僕の最後の仕事は,アプローチは全然異なるが「研究開発」の経済学的分析に関するものだった。この仕事は定年後になって,ようやくある学術雑誌に掲載された👉こちら)それにしても,彼がとっても幅広い分野で仕事をしてきたことを知り感服。現在もその知識を活かして新たな仕事をしているとのこと。怠け者の僕は恥じ入るばかり。

次回は,最近スキーと俳句に凝っている地質の専門家のもう一人のT君も交えておしゃべりをしようということになった。みないい友人だ!

2023年2月18日土曜日

県立美術館美術講座・木版画コース講評会

10月から半年間続いたこのみ先生の木版画コースも今日(2月17日)でいよいよ終了。今日は半年間の成果の講評会。課題は「空摺り」と「折本」。教室の前方のテーブルにズラリと力作が並ぶ。名目上は初心者コースなんだが,作品を見るとセミプロ級。事実,中には見るからに芸術家という方もおられる。受講生一人一人の作品説明にも力が入る。それぞれの作品にはそれぞれの背景があるわけだ。このみ先生はいつものように「褒めながら」も的確なコメントを次々と加えていく。そうだ!教育とは「褒めることなんだ」とあらためて実感。

ズラリと並んだ力作

すべての作品を講評するこのみ先生

毎回の講評会で思うのは,他の方々の作品と比べて自分の作品(作品と呼べるかどうかも疑問)の拙いこと。今回も四年間,本田このみ先生に指導してもらってこの程度のものしか作れない自分の限界をひしひしと感じた。

このみ先生の木版画教室は今期でおしまい。来期から先生は新しい先生になる。これを機に木版画はとりあえず半年間一休み。ここでちょっとゲネラル・パウゼだ。趣味や道楽は,自分自身が楽しめればそれだけで十分だが,それで周りの人もちょっぴり「にっこり」できればもっと良い。半年いろんな本を読んだり,いろんな映画を観たり,いろんな所を訪れて,これは是非周りの人にもちょっぴり「にっこり」してほしいというような題材を見つけたら再開しようと思う。


講評会の後:懇親会(まさに老若男女)

2023年2月3日金曜日

金曜日の午後

毎週金曜日は木版画教室。教室の終了後,古くなった懐炉(カイロ)のバーナー(触媒)を買いに元町のzippo-LAND G.(ジッポーランドG)へ向かった。どうも「使い捨て」という言葉の響きが嫌で,僕はこのように気化熱を利用した「使い捨てない」カイロを使っている。ポケットに入れているとポカポカと暖かい。たまに手で触われば指先も温まる。この「使い捨てない」カイロは,最初は触媒のバーナーにライターの火を近づけて温めるものの,その後は化学反応の気加熱を利用するので一切火は使わない。

Zippo Handy Warmer

お店に向かう途中,もしかしてと例のお店のウインドウを覗いてみると,やっぱり二月の木版画,クリスマスローズが。明日は立春。しかしまだまだ寒さは厳しい。

見覚えのあるクリスマスローズ








新二十四節気・冬至

今週末の土曜日(12月21日)は冬至。北半球では一年で夜が一番長い日だ。ただし日の入りが一番早いわけでも無いし,日の出が一番遅いわけでもない。日の入りから日の出までの時間が一番長いというだけだ。実は,日が暮れるのが一番早い日は冬至より少し前,日の出が一番遅いのは冬至より少し後にな...