三月まであと一週間。毎年三月には,わが家には白い水仙や黄色い水仙,そしてライラックの木の根元に黄色いクロッカスの花が咲く。三月の「裏庭の風景」はクロッカス。小さな花だが,春の到来を告げる鮮やかな黄色は,まだ殺風景な裏庭に彩りを与えてくれる。実際には裏庭のクロッカスは咲き始めたばかりだが,例年3月の満開の様子を想像して版画にした。少し早いが完成したものを手元に置いておくのはなんとも落ち着かないので,ブログに載せることにした。
6枚の花びらは4版を重ねて花びらの外側と内側に色にちょっとした差(ディープイエローとそれにごく少量のオレンジを加えたもの)をつけて陰影を表し,外側,内側それぞれ版を2枚重ねて花びらの重なりを表した。茎や葉ももちろん色を変えて(クリスマスローズと同じくザップグリーンとディープグリーン),非現実的ではあるが,それらの重なりで奥行きを出している。花だけでは寂しいので,クロッカスの周りを飛ぶてんとう虫をつけてみた。てんとう虫は石のハンコ,印矩を用いて赤と黒の二つのハンコを重ねて押印している。
クロッカスとてんとう虫 |
篆刻は朱文の弥生。草木の芽吹く「いやおい」が由来という説が有力。三月はまさにそんな月だ。昨年の四月に始めた「裏庭の風景」も三月でお終い。少し休憩し(general Pause)次にすることをゆっくり考えよう。