明日から4月。朧月夜の木版画を作った。実際の景色を見たわけでは無いが,歌のメロディーや歌詞から浮かんだイメージを木版画にしてみた。風景は正確では無いが,似た風景はこの裏六甲ではよく見られる。鳥居はどれも石造だから本当はグレーなんだが,フィクションで赤にしてみた。まさに紅一点。夜の風景に灯りが灯ったようだ。
図柄は極めて単純。それでも4枚の板を用いている。苦労したのは摺り。菜の花の色と,もちろん月の朧。菜の花は英語で フィールドマスタード(field mustard) だ。しかし辛子色の濃い黄色(イエローディープ)にすれば収穫時の稲のようになる。そこでレモンイエローと下部にライトグリーンの「付け合わせぼかし」を用いた。これで菜の花畑らしく軽くなった。
朧月は悪戦苦闘。プルシャンブルーの絵の具を伸ばした後,彫り込んだ月の周りを刷毛でボカすのだがこれが至難の技。実は今回はちょっと気取ってエディションナンバー付き,5枚(A.P.を含めて全部で6枚)摺ったのだが,朧の大きさや濃さ,すべてまったく別物のようになった。朧はまだまだ改善の余地がある。
朧月夜 |
小説でも音楽でも,どうも僕は月が好きなようだ。月は狂気を呼ぶ (lunatic)。僕の心には闇と狂気が潜んでいるのかもしれない。これまでに作った木版画にもしばしば月が登場する。これからしばらくは,月に関する木版画に取り組んでみよう。朧月夜は月に関する第一章。
0 件のコメント:
コメントを投稿