2020年12月15日火曜日

月がとっても青いから

美術館の木版画教室で知り合ったK.Y.さんは僕と同い年,とても魅力的な女性だ。イニシャルはK.Y.だが,決して空気が読めない人ではない。それどころか協調性のない僕が,版画教室にうまく溶け込めたのも,彼女の気配りのおかげだと感謝している。僕と同年齢とは言え,年配の人が多い版画愛好家の中では若手に分類されるようだ。 何かと気を遣って,周りの人をちょっぴりハッピーにするという彼女ならではの役目を果たしている。

今回もコロナ禍の自粛モードで,塞ぐ気持ちを少しでも前向きにと,ベートーベンのコンサートのチケットを手配してくれた。一緒に行ったのは,K.Y.さんと他二人の木版画仲間の女性の合計四人。演目は,交響曲2番,三重協奏曲,最後は6番(田園)。




会場は体温のチェック,手指の消毒,両隣一席空けて座ることになっておりコロナ対策は万全。そもそもコンサートは全員が同じ方向を向いているし,特にクラシックでは息を凝らして聴いているので飛沫感染の確率も低いと思う。二階ちょうど真ん中の席は,クラリネットの真正面。そして後で知ったことだが,奏者は山本正治,十亀正司という豪華メンバー。6番はクラリネットが活躍する場面が多い。久しぶりのコンサートを堪能した。




コンサートがハネたあと,少し肌寒かったが幌を開いて帰った。帰宅後,K.Y.さんに「今日はありがとう」と連絡すると,しばらくたって「今日は月が綺麗だったから,駅から30分歩いて帰宅した」との返事があった。当日,月が青かったか,白かったか,黄色だったかは思い出せないが,なぜか「月がとっても青いから,遠回りして帰ろう」という古い歌を思い出した。戯れに木版画を作ってみた。コンサートの後は,いつもハッピーな気持ちになる。

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