2022年10月27日木曜日

僕の「奥の細道」(IV)2022年10月27日

昨晩鶴岡に到着後,3000円のお買い物クーポンで街へ夕食をとりに出かけた。日本海側の街だからお魚が美味しいだろうと思い,ちょっとした居酒屋に入りお刺身を食べた。明日は特に決まった予定はないのでゆっくりできる。ホテルには無料のランドリールームがあったため,たまった下着などをすべて洗濯する時間も十分あった。

朝食を済ませて7時半,いざ出発と思ったら,お気に入りの帽子がない。何年か前髪の毛を短く切ったので,帽子は防寒にかかせない。特に冬の幌全開の走行には必需品だ。

お気に入りのパタゴニアのキャップ

ベッドの横の隙間に落ちたのだろうか,毛布のなかに巻き込んでいるのだろうかと探したが見つからない。昨日でかけたのは居酒屋さんだけだからきっとそこに忘れているのだろう。領収書を見ると開店時間は朝11時とある。まだまだ先だが,まずは予定していた湯殿山神社へ行って11時を待つことにした。その途中,忘れ物の問い合わせと電話番号を記したメモを居酒屋のドアのスリットから投げ込んでおいた。あれば電話がかかってくるだろう。なければ湯殿山神社から直接次の目的地長岡へ向かおう。

湯殿山神社までは一時間足らず。麓まで山形まで続く高速道路を使うことができる。当初はちょっと寄るだけで帰るつもりだったが11時までたっぷり時間があるので,参拝することにした。山の下に平安神宮の鳥居並みの大きな鳥居がある。そこから山道を30分たった一人歩きながら本宮を目指す。

参道の入り口の鳥居

参道の途中振り向けば山形の山並みが素晴らしい。小さな鳥居(赤くでかい鳥居よりずっと風情がある)や月山に続く山々など早朝の素晴らしい景色を堪能できる。帽子を忘れていなかったら素通りするところだったから忘れ物の効用だろうか。

人一人いない本宮へ続く参道

振り向けば山

紅葉と小さな鳥居

月山に続く山

本宮への参道にある鳥居から先は写真撮影禁止。せせらぎのような音を聞きながら谷底へ下っていくと何やら建物があり神主さんが一人。ここで靴を脱いで裸足になれと言われる。裸足にならないと神社に入ることはできないのだ。もちろんタダではない。これから先に入るために500円必要。そして小さな紙人形とお守りのようなものをくれて,お祓いをしてくれる。お祓いをして身の汚れを紙人形に移し,それを水の流れに流さなければ入れないのだ。これなら500円は高くない。久しぶりになんとなく身が清められた気分になる。しかし足が冷たい!不思議な御神体を拝み(帽子がありますようにとお願い),もとの入口まで帰ってくる頃には足は縮かんでしまって感覚がほぼ無くなっている。みなそうなんだろう。入り口には温泉の足湯が用意されていた。忘れ物のおかげで良い経験ができた。とても神秘的な感覚だった。

雲の峯
幾つ崩れて
月の山

語られぬ
湯殿にぬらす
袂かな

 芭蕉

湯殿山
銭ふむ道の
泪かな

 曾良

火恋し
足冷たきや
湯殿山 
湯殿山
下る参道
秋の風 
 一郎

鶴岡へ戻る途中スマホに電話の着信が。居酒屋さんから帽子があったとの連絡。湯殿山神社でのお願いが通じた! 11時から開店だが既に開いているのでいつでもOKとのこと。しかしやはり準備中は立て込んでいるだろうから11時に伺うことにした。少しだけ時間があったので,致道館という庄内藩の藩校に立ち寄ることもでき,道中の景色と合わせてしばし藤沢周平の世界に浸った。11時になって居酒屋さんへ帽子をとりに伺いお礼をいって長岡へ再出発。日本海を右手に見ながらの素晴らしいドライブを楽しんだ。ただ帽子騒ぎでバタバタとしたためスマホの充電器をホテルに忘れてきてしまった。

意外に早く目的地長岡に着くことができた。長岡については別に詳しく話すことにする。長岡は今回の旅の目的の一つでもあるからだ。今日の走行距離は281km。

 





 

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