子どもたちのお誕生日会のために,木版画でバースデー・カードを作成した。
バースデーケーキという子供らしい図案のカードだが,お誕生日の嬉しさや楽しさを表すために,ちょっとシャガール風にケーキの周りを舞う子どもたちを描いてみた。
バースデーカード:シャガール風 |
明日4月20日は穀雨。春の終わりを告げる時期だ。あと二週間すれば立夏,夏が始まる。一昨年の立夏「絵に描いた柏餅」から始めた新二十四節気の木版画シリーズも今回が最後。途中中断したが,昨年末の「力作のない木版画展」(こちら👉)を機に再開しやっと完成した。これでひと段落。一息ついてから新しいことに挑戦しよう。
穀雨のテーマは筍。非現実的だが,筍をブルーにすることで雨後の竹林に筍が生えている雰囲気を出してみた。篆刻は今回新しく楕円形のものを朱文で作成した。丸い石は真っ直ぐ垂直に押印するのは至難の業だ。
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竹林の筍 |
最近,必ずしも対象物の現実の色ではなくても,雰囲気を表すにふさわしい色ならばどんな色でも良いのではないかという気がしている。以前の「異邦人」でも黄色い空に白い太陽でアルジェリアの日がジリジリと照りつける暑い日を表してみた。
異邦人よりアルジェリアの太陽 |
ブルーと深いグリーンで冷んやりした竹林の中を表したのだが,どことなく福田平八郎風だ。昨年作品を直に鑑賞してからすっかり福田平八郎のファンになってしまった(こちら👉)。
「赤いコートを着た女」の構図がとても気に入って,同じような大きさの,同じような構図の木版画を作りたくなった。ふと思い浮かんだのが大分駅にあるフランシスコザビエル像。明示的に手を描かなかった「赤いコートを着た女」に対して,フランシスコザビエルは大きく手を広げている。それを特徴として木版画を作った。ただし実際の銅像の頭は傾いてはいない。
大分駅のザビエル像 |
自作のザビエル |
Also Sprach Xaver:Fängt es an zu regnen?
それとも,何かを尋ねられて両手を広げ「私にはわからない」と答えているようにも見える。この発想,中学高校とカトリック系の学校に通ったにもかかわらず不謹慎極まりない。
清明の版画(花見団子)で予告したとおり,今日中学高校の友人三人と丹波篠山まで花見に出かけた。しかし山間の篠山はまだ七分咲。満開には少し早かったようだ。3年前に始まった花見の会,一年目は少し遅くて桜はほとんど散ってしまい,遅咲きの御室桜(👉こちら)に滑り込み,二年目の夙川(👉こちら)は,前年の失敗を踏まえて早めに計画したがあいにく桜は三分咲。なかなか満開の桜には巡り合わないが,出遅れ→三分咲→七分咲と日程は確実に満開に収束している。来年はきっとどこかで満開の桜に出会うだろう。
七分咲の桜:篠山城跡 |
七分咲の桜:篠山城跡 |
桜は満開ではなかったが,素敵な食事を楽しむことができた。篠山に行くのは初めて,どこで食事をすれば良いかもまったくわからない。そこで児童館でいつも大変お世話になっているK先生に相談したところとても素敵な古民家レストランを教えていただいた。地元の食材を使ったとても美味しい料理を堪能した。自動車で行ったため,残念ながらお酒は抜き,まあ昼間だから仕方がない。しかしお酒なしでも十分以上に食事を楽しむことができた。K先生ありがとう!
外から見るとレストランとは思えない素敵な古民家 |
地元の食材を使った前菜 |
これまた地元の自然薯のとろろ |
K先生推薦の地鶏料理 |
たとえ偽りの春だろうと,春が訪れさえすれば,楽しいことばかりだった。問題があるとすれば,どこですごすのが一番楽しいか,という点に尽きただろう。一日を台無しにしてしまうのは人との付き合いに限られたから,面会の約束さえせずにすめば,日ごとの楽しさは無限だった。春そのものとおなじくらい楽しいごく少数の人たちを除けば,幸福の足を引っ張るのはきまって人間たちだったのである。
ヘミングウェイ/高見浩訳「偽りの春」,『移動祝祭日』(新潮文庫)所収
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当たり前だ皆同い年。 同じ中学高校に通ったのは50年以上前 |
再び小さな正方形の額。今回はコーヒーポット。昔使っていた,木の取っ手のあるコーヒーポットの版画を入れた。このポットでお湯を沸かし,下に散らばっている豆を挽いてドリッパーでカップに濾過して飲むのが正しいが,そのプロセスを適当に省略して,そう言う日常を単純化して描いたわけだ。何せ5センチ四方足らずの小さな絵だから省略は必須。「赤ワイン」,「赤いコートの女」と鮮やかな色合いが続いたから今回はおとなし目の色合いにした。
明日3月20日は春分。科学的には昼の長さと夜の長さが等しくなる日だが,漢字の意味するところは,立春(春の始まり)と立夏(夏の始まり)のちょうど中間点。つまり春真っ只中なんだが,実は瀬戸内海に面した温暖な地域であるここ神戸でも昨日は雪が降った。今はお彼岸の期間,明日春分はその中日にあたる。そこで季節の版画は,「ぼた餅」にした。添えた言葉は「棚からぼた餅」ではなく絵そのもの「箱からぼた餅。」なんの意味もない見たそのまま。
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餡子ときな粉のぼた餅 |
子供の頃は,これを「ぼた餅」ではなく「おはぎ」と呼んでいた。「おはぎ」は秋分に食べる「ぼた餅」で,「ぼた餅」は春分に食べる「おはぎ」ということだ。つまり,物理的には両者はまったく等しいものらしい。
明日は京都に住む息子家族と一緒に和歌山までお墓参りにいくつもりだ。お天気は回復するようだ。阪神高速湾岸線を利用して自動車で行くのだが,関西国際空港を右手に見ながら,阪和自動車道へ分岐するあたりでとても懐かしい気持ちになる。「この道はいつか来た道」,現役時代の出張はいつも早朝三宮から関空行きのリムジンバスだった。
壬生寺 |
「ごめん,ごめん。なかなか仕事の区切りがつかなくて」「先生,お忙しいのだったら言ってくださったらよかったですのに」
赤いコートの女:モディリアーニ風 |
赤いコートの女:モディリアーニ風 |
明日,3月5日は啓蟄(Insects Awaken)。地中から蛇やカエルが出てくる時期。先週は春の気配を感じる毎日だったが,今週は再び冬に逆戻り。関東以北では雪が積もっている。今はちょうど雛祭りの時期(正確には3月3日),雛あられを題材とし,高杯(「たかつき」と読む)に盛られたあられの中から目を覗かせている蛙を木版画にした。あられに埋もれている姿は,まさに「あられもある姿」
年末,街でぶらぶらしていてとても小さな額を見つけた。価格はなんと110円。サイズは約7センチ×9センチ,窓の大きさが約5センチ×約7センチの本当に小さなもの。壁にかけるだけではなく立てることもできる。それに合わせて簡単な木版画を作成した。安価でシンプルな額だから,木版画もシンプルなものにした。最初は和紙に摺ったが,図柄が図柄だけに,綺麗に摺れると版画ではなくイラストの様に見えてしまう。そこでニューブレダン紙という洋紙に摺ることにした。ちょっとした力の入れ方でかすれの程度が異なり,手作り感が増す。しかしそれがかえって木版画ならではの味がでるような気がする。
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立てた場合はこんな感じ |
明日,2月18日は雨水(The rains)。空から降る雪が,雨に変わり,それが田畠を潤し人々が耕作を始める季節ということだ。立春から二週間経ち,少しずつだが寒さも和らいできた様に感じる。このころに咲く椿の花に合わせて「椿餅」が和菓子屋さんの店頭に並ぶ。ただ和菓子は「花」をモチーフにしたものでなく「葉」をモチーフにしている。雨水の版画は椿餅とした。
椿餅は『源氏物語』「若菜 上」にも出てくる古い和菓子だ。何度も途中で挫折した『源氏物語』も,角田光代さんの現代語訳でやっとすんなりと読めた。「つばきもち」ではなく「つばいもちい」というルビがふられている。
椿餅や梨,みかんといった食べものが,箱の蓋にいろいろと無造作に置かれているのを,若い人々ははしゃぎながら取って食べている
紫式部/角田光代現代語訳『源氏物語』(東京:河出書房新社)河出文庫5,115ページ
ただ,「三月頃の空もうららかに晴れた日」とあるから,語られている時期は,雨水よりもう少し先の季節だろう。
図柄は簡単。全体を椿の葉と同じグリーンにし, 重ね刷りで濃淡をつけただけだ。紫式部をテーマにした昨年のNHKのドラマ「光る君へ」をもじって「光る餅へ」を添えた。篆刻はもちろん「雨水」
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椿餅 |
明日2月3日は立春。まだまだ寒い日が続き,月曜日からの週は気温もぐっと下がるらしいが,暦の上では春だ。しかし四季を感じるのは温度だけではない。夕方5時にはすっかり暗くなっていた12月に比べて日が沈むのが随分遅くなった。確実に春は近い。
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蕗のとう |
立春の版画は,まだ本格的な春ではないが,なんとなく春の始まるを告げるような気がする開き始めた「蕗のとう」に,立春の篆刻とキャンディーズの「春一番」の歌詞を添えてみた。
もうすぐ春ですねえ
ちょっときどってみませんか
ところで「春一番」は,歌われているように明るく楽しいものではないらしい。元来,春先、初めて吹く,最大風速8メートル以上の強い南風のことを言う。立春から春分にかけての時期に吹くこの春一番は、竜巻や突風を伴い,漁に出る漁師たちの間でもとても怖がられているとのこと。
半年ぶりのキャンプは,能勢「杜のテラス」での真夏キャンプから一転,同じ場所での真冬キャンプ。 寒さ対策は万全。ただそのため荷物が格段に増加し,ロードスターは断念,カミさんのヤリスクロスを借りてたくさんの荷物を積み込んだ。今回もR大時代の友人と一緒。
いつものテントだが遠景にはヤリスクロス |
アヒージョ |
ペペロンチーノ |
炎をみていると心が落ち着く |
野菜たっぷりのカレー鍋 |
友人撮影の夜空の星 |
明日は二十四節気の大寒。英語で言えば "Great cold" 。まあ一年で一番寒い時期なんだろう。それでも,今週は旧友と二人キャンプに行く計画だ。キャンプの夜は鍋と日本酒に決定。キャンプについては別の機会にブログで報告するが,キャンプといえばやはり焚き火だ。
と言うわけで,大寒の木版画のテーマは焚き火と焼芋。色づいた落ち葉の中に焼き芋が二個,小さな炎と立ち上る煙。
紫の匂へる妹を憎くあらば人妻故に我恋ひめやも(万葉集)
だ。これは額田王の歌
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る(万葉集)
への返歌。要するに,現代語の「芋」と,古文の「妹」の発音が同じというだけ。加えてさつまいもの色は紫だし,落ち葉が沢山あるから万葉という妄想の連鎖。焼き芋の版画を摺っていてふとこの歌を思い出したわけだ。
人妻故の「故」の意味が分かり難いが,リービ英雄の英訳を見ればバッチリ。故は,"because" ではなく,"though" なのだ。
If I despised you, who are as beautiful
as the murasaki grass,
would I be longing for you like this,
though you are another man’s wife?
English translation by Ian Hideo Levy in Miyata et al. (2000) Love songs from the Man'yoshu (Tokyo: Kodansya International)
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『万葉恋歌』 |
万葉集の歌は本来とてもシンプルで心情を直接的に表現したものが多い。難しい解釈は不要。英語で読むのが一番わかりやすい(こちらも参照👉)。上記の本,切り絵はあまり興味はないのだが,リービ英雄の英訳が知りたくて購入したもの。誤解をないように言うが,この本の切り絵が「もう一つ」というのではなく,僕は「切り絵」というものにあまり心を惹かれないのだ。
明日は二十四節気の小寒。英語で言えば "Slight cold" だから「ちょっぴり寒い」と言うわけだが,ここ六甲山の裏では朝晩の寒さは結構きつい。それでも今日は,幌をフルオープンにしてパンを買いに山道のドライブを楽しんだ。贔屓のパン屋さんは今日が年明けオープン。
お正月休みは明日でおしまい。お正月休みは,近所の箕谷神社に初詣に出かけただけで,後は家の中で食ったり飲んだりの毎日,気がつくと体重は一気に2kgも増加した。
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箕谷神社 |
クリスマスシーズンのシュトレンもすっかり無くなるため,正月休みは毎年和菓子を楽しむのが常だ。特に金沢出身のH先生が,生前年末に届けてくれる金沢の和菓子「福梅」はわが家のお正月には欠かせない和菓子だった。まさに「仰げば尊し和菓子の恩」
先生が亡くなった後年末に金沢から取り寄せていた。ただ今年は取り寄せることはなかった。暮れに京都の料亭の女将から京都の和菓子が届いた。それだけでお正月は十分。しかし毎年あるものがないのは少々寂しい。そこで小寒の版画は,きちんと並んだ箱入りの,「福梅」を木版画にした。添えた一言は「笑門来福」をもじった駄洒落。
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福梅10個入り |
子どもたちのお誕生日会のために,木版画でバースデー・カードを作成した。 バースデーケーキという子供らしい図案のカードだが,お誕生日の嬉しさや楽しさを表すために,ちょっとシャガール風にケーキの周りを舞う子どもたちを描いてみた。 バースデーカード:シャガール風